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形成外科診療ガイドライン2【皮膚科医のオススメ教科書⑮】

 

皮膚科医のオススメ教科書シリーズ。

今回は形成外科のガイドラインを紹介する。

形成外科診療ガイドラインは1~7まで出ていて、皮膚科と関連しそうなのは1~3。

 

  1. 皮膚疾患
  2. 急性創傷/瘢痕ケロイド
  3. 慢性創傷
  4. 頭蓋顎顔面疾患(先天性) 口唇裂、口蓋裂
  5. 頭蓋顎顔面疾患(後天性) 顔面骨骨折
  6. 頭頸部・顔面疾患 頭頸部再建、眼瞼下垂
  7. 体幹・四肢疾患 四肢先天異常

 

3は静脈うっ滞性潰瘍や糖尿病性潰瘍などの「慢性創傷」で、皮膚科の「創傷・褥瘡・熱傷ガイドライン」にも記載があるため、そちらでも対応はできる。

 

一方、2の「急性創傷/瘢痕ケロイド」もとても重要な内容なのだが、皮膚科のガイドラインには記載がない。

 

内容は急性創傷、感染創、ケロイド・肥厚性瘢痕の3本立て。おまけで陥入爪・巻き爪も入っている。

これらは皮膚科診療の中でも遭遇する頻度は高い。

 

そこで形成外科診療ガイドライン2の内容の一部を簡単に紹介する。

縫合のゴールデンタイム、予防的抗菌薬、汚染創の一期的縫合などは、一度ガイドラインで知識を整理しておいた方がよいと思う。

 

▼前回の記事▼

外傷処置・小手技の技&Tips【皮膚科医のオススメ教科書⑭】
いままで色々な教科書を読んできたが、手術の本で良いものは少ないような気がする。 手術の技術は基礎的な知識も大切だが、小さなノウハウの積み重ねという部分がある。 枝葉の知識がとても重要である。 そういう知識は...

 

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1. 縫合のゴールデンタイム

 

汚染のない創と汚染創では縫合できる時間が異なる。顔か四肢かでも異なる。

大学病院の皮膚科では外傷を診ることがまずないため、意外と習ったことがない気がする。

汚染のない創は何時間以内に縫合すべきか?

顔面、頭頚部でれば24時間前後で、体幹、四肢は6~12時間以内に縫合するのが望ましい。(C1)

 

汚染創に一期的縫合は有効か?

受傷後6~8時間以内に十分な洗浄・デブリードマンが行われた場合には、一期的縫合が有効である。(B)

 

2. 洗浄に用いるのは

 

生食と水道水では相違はないとのことで、洗浄は水道水で構わない。

気持ち的には生食で洗浄したくなるが。

汚染創に対し水道水による洗浄は有効か?

水道水による洗浄は有効である。(B)

 

3. 予防的抗菌薬

 

基本的に予防的抗菌薬は不要。動物咬傷では必要。

最近では一般的になってきた知識である。

汚染のない創に予防的抗生物質投与は有効か?

汚染や深部組織の損傷・露出がなく基礎疾患や合併症のない創傷に対しての予防的抗生物質投与は必ずしも必要ない。(C2)

 

動物咬傷に抗生物質の予防的投与は有効か?

手の咬傷、猫・ヒトの咬傷の場合は感染率が有意に低下するため有効である。(B)

その他については有効性は立証されていないが、感染の危険性が高いと判断される場合は予防投与を検討すべきである。(C1)

 

▼抗菌薬の使い方についてはこちらの記事で▼

>>蜂窩織炎の治療法【皮膚科医の抗菌薬の使い方②】

 

4. 縫合したあとの処置

 

縫合部は濡らしてもよいしガーゼ保護も不要と書かれている。

何も覆わないというのは不安であるが。

縫合部を濡らすと創感染の可能性が高まるのか?

一時縫合創は、それがきれいと判断される場合にはシャワー浴等で濡らしてもよいし、ガーゼ等による被覆をせずともよい。(B)

 

5. 瘢痕の予防

 

瘢痕の予防のために真皮縫合と抜糸後のテーピングが有用。

真皮縫合を含めた減張縫合を行うと、瘢痕の幅が狭くなるか?

真皮縫合を含めた減張縫合を行うと瘢痕の幅は狭くなる。(C1)

 

抜糸後に皮膚にテーピングを行った方が、最終的な傷跡の幅は狭くなるか?

テーピングを行った方が、最終的な傷跡の幅は狭くなる。テーピングは12週以上続けることが望ましい。(C1)

 

まとめ

 

創傷治療は意外と自己流でやっている部分があるので、一度エビデンスを整理しておくことは大切だと思う。

また陥入爪や肥厚性瘢痕の治療についても書かれているので確認しておきたい。

 

つづく

抗菌薬を学ぶための1冊「抗菌薬の考え方、使い方」【皮膚科医のオススメ教科書⑯】
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オススメ教科書①~⑩のまとめはこちら

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