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外傷処置・小手技の技&Tips【皮膚科医のオススメ教科書⑭】

 

いままで色々な教科書を読んできたが、手術の本で良いものは少ないような気がする。

手術の技術は基礎的な知識も大切だが、小さなノウハウの積み重ねという部分がある。

枝葉の知識がとても重要である。

 

そういう知識は経験に基づいていて、徒弟制度で伝えられることが多いように思う。

EBMに基づいた標準治療とは違い論文には書いてなくて、上司と一緒に働く中でポロっと教えてもらえたりする。

しかしそんなノウハウを座学で学ぶことができる本が「外傷処置・小手技の技&Tips」である。

アカデミックな本ではありません。いろいろな病院を転々と勤務してきた著者が、さまざまな臨床現場から得た経験から構成されています。

 

とあり教科書には意外と載っていない知識が豊富に書かれている

この中から代表的なものをいくつか紹介する。

 

▼前回の記事▼

皮膚科診断力向上のための修行本7選【皮膚科医のオススメ教科書⑬】
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外傷処置・小手技の技&Tips

1章. 縫合法

  • 二辺の長さが違う創は最初に両端を合わせる。

最初に両端を合わせる方法は、皮膚科1年目のときに先輩の外来手術を見ているときに知った。

 

  • 真皮縫合は浅くかけすぎない

真皮縫合は自分の手術の術後に糸が露出してきたときに気づいた。

 

2章. 手術

  • 顔の手術では滅菌シーツの穴を大きくして顔全体が見えるようにする

顔の手術時は左右差などを確認する必要があるため、顔全体を見えるようにする。

皮膚科2年目くらいに関連病院の上司に教わったと思う。

 

  • 鼻の局所麻酔は2.5mlのロック付きシリンジで

局所麻酔は直径の小さなシリンジを使った方が圧がかかりやすい。

これは4~5年目くらいまで知らなかった。

 

3章. 外傷

  • 伸縮テープは引っ張って貼らない

テープの貼り方は皮膚科1年目に外科班のチーフに教えてもらった。

 

  • 裂創のテープ固定はまず真ん中を仮寄せする

真ん中を仮寄せする方法は恥ずかしながら知らなかった。

 

その他

  • ペンローズドレーンの1辺を裂いておけばドレナージが効きやすい

ペンローズを裂くのは研修医のときに外科の先生がやっているのを見て知った。

意外とどこの教科書にも載っていない。

 

  • 前医の悪口を言って受診してきた患者の対応には特に注意が必要

手術とは直接関係ない「前医の悪口を言って受診してきた患者」なんて項目もあるのが面白い。

医者に成りたてのときは「先生は前の医者よりずっと良いです」なんて言われるとつい喜んでしまうが、そういう人には要注意。これは経験とともに学んだ。

 

まとめ

 

修行の目的はこういった小さなノウハウを習得していくことでもある。

しかし徒弟制度では、上司からの気に入られ度によって得られる知識量に差が出てしまう。

 

以前ホリエモンが寿司屋で何年も修行するのはバカと言って話題になったが、自分もこの考え方には賛成である。

【関連】最近ホリエモンの考えに共感できる【書評】「君がオヤジになる前に」

 

自分はあまり上司受けのよい部下ではなかったので、自分で勉強するしかない部分があった。

上司にかわいがられる能力も実力の内といえばそれまでだが。

 

こういう本がもっと出てきてほしいと思う。

つづく

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