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蜂窩織炎の治療法【皮膚科医の抗菌薬の使い方②】

 

今回は「皮膚科医の抗菌薬の使い方」シリーズ第2回。

蜂窩織炎に対する抗菌薬の使い方をガイドラインから紹介する。

 

前回の記事

▼フロモックスを使ってはいけない理由▼

フロモックスを使ってはいけない理由【皮膚科医の抗菌薬の使い方①】
自分が皮膚科医になったときは、抗菌薬はフロモックスやメイアクトなどを頻用していたんだけど、最近は使わないほうがいいという流れになっている。 結論を申しましょう。もはや、医療界はもう、経口三世代セフェムと決別すべきです。 ID...

皮膚感染症のガイドライン

 

今回参考にしたガイドラインは2つ。

まずは皮膚感染症に関するIDSAのガイドライン。このガイドラインから蜂窩織炎、動物・人咬傷、重症皮膚感染症について。

「Practice guidelines for the diagnosis and management of skin and soft tissue infections: 2014 update by the infectious diseases society of America.」

Clin Infect Dis. 2014 Jul 15;59(2):147-59

 

また別のガイドラインから糖尿病性足感染症について。

「2012 Infectious Diseases Society of America clinical practice guideline for the diagnosis and treatment of diabetic foot infections.」

Clin Infect Dis. 2012 Jun;54(12):e132-73.

 

これらのガイドラインから抗菌薬の使い方を解説する。

  1. 蜂窩織炎
  2. 糖尿病性足感染症
  3. 動物・人咬傷
  4. 重症皮膚感染症

抗菌薬の使いかたの図

1. 蜂窩織炎の抗菌薬

蜂窩織炎の抗菌薬

Clin Infect Dis. 2014 Jul 15;59(2):147-59

 

蜂窩織炎の原因菌は黄色ブドウ球菌とレンサ球菌なので第一世代セフェムを使用する。

全身症状のない軽症例では経口、全身症状を伴う中等症では静注。

 

  • Mild infection:typical cellulitis with no focus of purulence
  • Moderate infection:typical cellulitis with systemic signs of infection

軽症 ⇒セファレキシン

中等症⇒セファゾリン

 

MRSAは蜂窩織炎の原因菌になりにくく、通常はカバー不要らしい。

MRSA is an unusual cause of typical cellulitis.

Clin Infect Dis. 2014 Jul 15;59(2):147-59

 

MRSAをカバーしなくても治療成功率は96%というデータもあるようだ。

A prospective study of patients with cellulitis in a medical center with a high incidence of other MRSA-related SSTIs demonstrated that treatment with β-lactams was successful in 96% of patients.

Clin Infect Dis. 2014 Jul 15;59(2):147-59

 

2. 糖尿病性足感染症の抗菌薬

糖尿病の抗菌薬

Clin Infect Dis. 2012 Jun;54(12):e132-73.

 

しかし糖尿病がある場合はもう少し広い範囲をカバーしなければならない。

軽症であれば第一世代セフェムでもよいが、中等症以上であればグラム陽性球菌の他に腸内細菌、嫌気性菌のカバーが必要とのこと。

そのためβラクタマーゼ阻害剤配合ペニシリンを使用する。

軽症 ⇒セファレキシンorアモキシシリン/クラブラン酸

中等症⇒アンピシリン/スルバクタム

 

緑膿菌のカバーは通常は不要。

P. aeruginosa is an uncommon pathogen in diabetic foot infections except in special circumstances.

Clin Infect Dis. 2012 Jun;54(12):e132-73.

3. 動物・人咬傷の抗菌薬

 

動物・人咬傷の場合は、軽症でも嫌気性菌のカバーが必要なためβラクタマーゼ阻害薬配合ペニシリンを使用する。

What Is the Treatment for Infected Animal Bite–Related Wounds?

An antimicrobial agent or agents active against both aerobic and anaerobic bacteria such as amoxicillin-clavulanate should be used.

Clin Infect Dis. 2014 Jul 15;59(2):147-59

 

主な原因菌の抗菌薬感受性

ペニシリンアモキシシリン

/クラブラン酸

セファレキシン
S.aureus10%100%100%
Eikenella corrodens99%100%20%
Pasteurella multocida95%100%30%

日本医師会雑誌 141巻5号 p1033-1036, 2012.

 

Eikenella corrodensなどは第一世代セフェムに耐性があるので、セファレキシンが使えないことに注意が必要である。

Eikenella corrodens is resistant to first-generation cephalosporins. Therefore, treatment with amoxicillin-clavulanate, ampicillin-sulbactam, or ertapenem is recommended.

Clin Infect Dis. 2014 Jul 15;59(2):147-59

4. 重症皮膚感染症の抗菌薬

 

ただしショックを伴う重症感染症(壊死性筋膜炎など)の場合は緑膿菌やMRSAまで含めた広範囲のカバーが必要である。

Severe infection: patients with SIRS and hypotension

バンコマイシン

+ピペラシリン/タゾバクタムorカルバペネム

 

What Is the Preferred Evaluation and Treatment of Necrotizing Fasciitis, Including Fournier Gangrene?

Empiric antibiotic treatment should be broad (eg, vancomycin or linezolid plus piperacillin-tazobactam or plus a carbapenem, or plus ceftriaxone and metronidazole).

Clin Infect Dis. 2014 Jul 15;59(2):147-59

まとめ

 

蜂窩織炎の抗菌薬についてまとめた。

抗菌薬の使いかた

 

皮膚科は他の科と比べて対象とする菌が非常に限られているので、抗菌薬の使い方は分かりやすいと思う。

ただし膿痂疹や膿瘍ではMRSAが増えているようなので別の対応も必要になる。

つづく

 

皮膚科医の抗菌薬の使い方シリーズ

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