高畑作品の怪「おもひでぽろぽろ」と「となりの山田くん」 ジブリレビュー⑨

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高畑勲は非常に緻密な作品をつくるのが特徴である。

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宮崎駿の「冒険活劇」に対抗すべく、リアルなアニメーションを目指しているそうだ。

バーチャルとかファンタジーというものは何の役にも立たないと僕ははっきり言いたいんですよね。

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高畑映画には必ず「社会問題を扱ったテーマ」と「新しい映像技法」が隠されている。

作品の凄さは一見分かりにくいが、解説本を読んで解読していくのが正しい楽しみ方。

今回のジブリレビューでは高畑作品を2つ紹介する。

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おもひでぽろぽろのレビュー

あらすじ

都会生活に物足りなさを感じている27歳のOL岡島タエ子は、休暇を取り山形の農家で農業体験をする。農家の人々と交流するうちに、田舎が無いことで寂しい思いをした小学5年生の頃の思い出がよみがえっていく。

主人公のタエ子が小学生の思い出を振り返りながら、過去を乗り越えて成長する姿を描く作品。

胸糞映画だった「火垂るの墓」と比べるとだいぶ前向きで、高畑映画では珍しく後味のよい映画になっている。

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「おもひでぽろぽろ」のテーマ

農業問題を描いた映画でもある。

農業は今大変です。それで何とか農業青年に声援を送りたいという気持ちが前からあったんです。

自分が熱中していること、例えば有機農業を頑張ってやっているんだということについては熱心に語れるし、その姿は魅力的なはずだと思うんですね。

農業を熱心に語るトシオには確かに魅力がある。

ジブリの隠れた人気キャラである。

カッコいいトシオ

>>四コマ映画~あの映画を四コマで紹介~

「おもひでぽろぽろ」の映像技法

この映画をみていて気になるのが顔のシワ。

ほうれい線

これには理由があって、解説本を読むと映像的に大きなチャレンジをしているのがわかる。

1つの作品の中で2つのまったく異なった作画を行っているらしい。

  • 現在編⇒リアリズムを徹底した写実的な風景と立体的な顔の造形
  • 過去編⇒書き込みを減らしたマンガ的な作画

山形編とおもひで編の比較

批判されることの多い「顔のシワ」は、リアリティにこだわった新しい映像技法から生み出されたもの。

「エンターテイメント性」と「社会問題」、「映像技法」すべてがうまくまとまった稀有な作品で、カルトな高畑勲作品の中では一番バランスがよいと思う。

となりの山田くんのレビュー

一方となりの山田くんは、4コマギャグマンガを長編アニメ化したというとても意欲的な作品。

となりの山田くんの原作

>>『となりのやまだ君』作者:いしいひさいち

「となりの山田くん」のテーマ

ただ致命的な欠点はギャグがまったく面白くないところ。ギャクマンガに難しいテーマを込めようとしたのが災いしている気がする。

テーマは「不真面目のすすめ」。

いま、生真面目で傷つきやすい人が増えているような気がします。

「不真面目のすすめ」こそ、いま必要なのかもしれません。

ほどほどにやっていけばなんとかなるものだ、という昔ながらの知恵を、このマンガは教えてくれています。

力を抜くことの大切さをものすごく力を入れて訴えられても…という感じ。

不真面目な映画を「真面目」に作ってしまった。

「となりの山田くん」の映像技法

映像的なチャレンジは「おもひでぽろぽろ」の過去編をさらに発展させたもの。

密度を上げるということに関しては行くところまで行ったなあって。

この作品の方針は、書き込まないで余白を作るということなんです。

映像のリアルさを追求していた方向性から一転、より書き込みを減らした映像を作ることに挑戦したそうだ。

キャラクターの表現を透してその背後にあるホンモノの人間の姿を実感させたいと考えています。

となりの山田くんの映像技法

パッと見ではわからないが、この映像をつくるために相当ハイレベルな技術が用いられているらしい。

しかし前衛的すぎたのが受け入れられなかったようで、興行収入は大コケしたそうだ。

興行収入

  • おもひでぽろぽろ31.8億
  • 平成狸合戦ぽんぽこ44.7億
  • となりの山田くん15.6億

ただコケた理由には鈴木敏夫も絡んでいるようだ。高畑の希望もあり、あえて積極的な広告を打たなかった。

ヒットが続くと、会社や周囲からのプレッシャーが高くなって、作る人間も数字を追いかけるようになります。そうすると現場は萎縮してしまう。自由を取り戻すためには、どこかで数字をリセットしなきゃいけない。

鈴木敏夫氏が語った「あえて興行成績を落とした理由」

一部で熱狂的なファンもいるようだが、カルトすぎてちょっとついていけなかった部分もある。

そして次の高畑作品の誕生まで14年もかかることになった。

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