AIに代替されないための医師の働き方を考える

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最近AIの進歩によって人間の仕事が奪われることが心配されている。

医者も例外ではない。

これに触発されて、AI時代に医者がどんなプロを目指せばよいか、参考になる話がないか探してみた。

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①手数を増やす

岩田健太郎先生の著書「コンサルテーション・スキル」に、プロとアマの違いについて記載があった。

研修医には権威を示そう【医学書評】コンサルテーション・スキル
 前回の続き 基本的に皮膚科は、他科からバカにされているので肩身が狭い。 関連記事>&...

プロとアマの違いに「手数」の差があります。ある感染症の「第一選択」を出すことは研修医でもできるでしょう。

しかし様々な理由から「理想的」な治療が提供でないときに、第二、第三の手と次々に代替案をひねり出せるのが、本当のプロです。

色々な治療の選択肢を持っているのが本当のプロだという話。

例えば「診断⇒治療」までの流れだけならAIが代替することは可能なはずだ。

診断のためのAIの開発は進んでいて、最適な治療もコンピューターが提示することができる。

でも最適な治療ができない場合も多い。

色々忖度しながら70~80点の治療を行うことが要求される場合があり、それは人間にしかできないことだ。

糖尿病内科のベテランの話

medtoolz先生のブログ(>>臨床で必要なことはすべてmedtoolz先生から学んだにも同じような話があった。

専門医による糖尿病治療の話。

うちの施設は内分泌内科の先生がたに、大学から来ていただいている。

若い人は要求が厳しい。お願いした患者さんは97歳だけど、適当にやっているのがばれて、処方を全部変えられたりする。

ベテランの先生がたは、そのへん優しい。自分が作った適当な治療スケジュール見ても、「いいんじゃないですか?」なんて、それにちょっとだけ専門知を付け加えて、正しいやりかたに直してくれる。

自分のやりかたを引き継いでくださるから、病棟も混乱しないし、自分のメンツも潰さないでくれる。

理想の治療だけではなくて、「間違ったやりかたを正解にもっていく方法」をたくさん知っていることもプロの能力と言えるだろう。

皮膚科での話

自分の経験の話。

以前テラビックというC型肝炎の治療薬があった。薬疹の発症率が8割近いという、とんでもない薬で、薬疹の患者がたくさん皮膚科を受診した。

薬疹を起こしたときは「薬剤を中止する」のが基本である。しかしテラビックは12週だけ内服を完遂させればよいので、「薬を継続しながらの治療」が求められる場面があった。

そんなときは、重症化に注意しながら、薬剤を継続したままプレドニンで薬疹の治療を行った。

そのとき思ったのは、薬剤を中止するだけなら誰でもできるが、薬剤を継続しながら治療するというのはプロにしかできない技だということ。

そこに皮膚疾患のプロとしての存在意義があると感じた。

いろいろなシチュエーションを経験して、いろいろな治療の引き出しを持っておくことがAIに代替されないために大事な気がする。

②イメージを描く

2つ目の話はイメージを描くことについて。

高齢化した地域で医療を行っていると、「入院してキレイに治って、元気に退院していく」ということは少ない。

入院によってADLの低下など別の問題が出現することが多いからだ。

ではどこをゴールにするのか。それを考える能力が重要になって来ると思う。

脳梗塞患者の話

以前medtoolz先生のブログにこういう話があった。脳梗塞の患者の治療について。

研修医の頃、重篤な脳梗塞の患者さんを受け持った。上司に「どうしますか?」なんて治療の方針を尋ねたら、「立派な寝たきり老人にして返す」という返答をいただいた。

自分は研修医だったから、予期していた返答は、とりあえずの点滴だとか、治療に使う薬だった。当時の自分は「治療」を見ていて、その人は患者さんが退院するときのイメージを描いていた。そういう発想は、そのときの自分になかった。

この記事を読んだときに、すごく納得した。

患者の「治癒」をゴールにすると行き詰ってしまうことがよくある。

そうならないために、「どうやって退院させるか」を具体的にイメージしておくことはとても大事だと思う。

必ずしも「治癒」がゴールではないということ。

AIは患者の「診断⇒治療」の部分では優れた力を発揮すると思うが、患者に「ある程度の落としどころをつける」ということは苦手だと思う。

入院から退院までの患者さんのマネージメントをする。

そういう能力もAIに代替されないために磨いておいたほうがよいだろう。

一人の医師が戦力として数えられるようになるとはどういうことか。必要な医学知識を身につけているのは当然として、一人の力で患者さんを退院まで持っていけるだけの能力を身につけることだと思う。

まとめ

落合陽一氏によると超AI時代には「戦術」より「戦略」が重要になってくるという。

AIというツールの使い方として、「戦術より戦略が重要だよ」と話しています。戦術レベルだとAIのアップデートが早いため勉強し続けないといけないですが、戦略レベルなら割と長い間、人間の出番があると思っています。

「デジタルネイチャー」の社会におけるAIとの付き合い方

これは医療の現場においても言えることなんだと思う。

つづく

次回予告>>デジタルネイチャー×皮膚科学を考える

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