保湿剤の有効性とエビデンスをまとめる【ヒルドイドバッシングより】

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少し前に保湿剤ヒルドイドのバッシングがあった。

美容目的で保険適応外の使用が行われているという報道である。

アトピー性皮膚炎などによる皮膚乾燥の治療薬として処方されている医療用保湿剤「ヒルドイド」(ヘパリン類似物質)を、女性が美容目的で使うケースが増えている。

「健康保険組合連合会」が9月に公表した報告書で、こうした実態を指摘した。

保湿剤「ヒルドイド」を化粧品代わりに使うなら、保険適用外す?

適応外使用されているというのを口実に、厚労省は保湿剤の保険適応自体を外そうとしていたようだ。

中長期的には、海外の保険収載の状況や一般用医薬品の流通の状況等を踏まえ、保湿剤の処方そのものを保険適用外とすることも検討すべきである。

政策立案に資するレセプト分析に関する調査分析III(健康保険組合連合会)

これは厚労省が推し進める外用薬のOTC化の流れで、「適応外使用」というのがうまく利用された形である。

市販の水虫薬はやめよう OTCに侵食される皮膚科の未来
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今回は見送られたが、今後保湿剤も含めて「外用薬がすべて市販薬にスイッチ」という流れは止められないだろう。

皮膚科医にとっては厳しい状況であるが、今回は皮膚科における保湿剤の重要性について考えてみる。

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保湿剤のエビデンス

おもにアトピー性皮膚炎での話。

まず保湿剤単独では炎症症状の改善効果はないとされている。

保湿剤の効果が証明されているのは3点。

  1. 皮膚症状の再燃抑制効果
  2. ステロイド使用量の減量効果
  3. ステロイドの効果アップ

それぞれについて解説する。

①皮膚症状の再燃抑制効果

個人的に一番重要だと思うのが再燃抑制効果。皮膚症状が落ち着いてからも予防的に保湿剤を続けた方が再燃率が低くなる。

わかりやすいデータなので、患者に説明するときにも使いやすい。

保湿剤の再燃抑制効果の図

炎症が沈静化しているアトピー患者を保湿剤継続群と無処置群に分けて、再燃率を調べた研究

再燃率

  • 保湿剤群 12.5%
  • 無処置群 39.5%

(p=0.0136)

日本皮膚科学会雑誌117(7)1139, 2007

②ステロイド使用量の減量効果

保湿剤を併用した方が、ステロイドの使用量が少なくてすむというデータ。

ステロイド単独でなく、保湿剤も併用した方が副作用を減らすことができるだろう。

保湿剤のステロイド使用量減少効果

アトピー患者をステロイドのみとステロイド+保湿剤併用群に分けて、ステロイド使用量を調べた研究

  • ステロイドのみ 8.87±1.37g
  • ステロイド+保湿剤 4.86±0.97g

(p=0.025)

Dermatology 214(1):61-7, 2007

③ステロイドの効果アップ

これに関しては「効果がある」という報告と「効果がない」という報告の両方がある。

先ほどの論文(Dermatology 214(1):61-7, 2007)ではステロイドの減量効果はあったが、皮膚症状の改善度は変わらなかったとされている。

一方、保湿剤とステロイドを併用して治療効果が上がったという報告を紹介。

保湿剤の併用によってステロイドが効果アップ

アトピー患者の左右の腕にステロイドとステロイド+保湿剤を外用し48~72時間後のスコアを比較

SCORADスコア

  • ステロイド+保湿剤 7.6
  • ステロイドのみ 9.0

(P<0.011)

Dermatology 2006;212:66–69

保湿剤の効果のまとめ

やっぱり保湿剤の重要性がわかる結果である。

最近は皮膚科の治療が大きく変わりつつある。細かい生活指導ではなくて高額薬剤で一気に治す時代に。

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乾癬と同様にアトピーにも生物学的製剤が出てくるが、子供には使えないので今後も保湿剤の重要性は揺るがないだろう。

しかし将来、保湿剤が保険適応から外されてしまったらどうしたらよいか。

その時に備えて市販薬についての知識も持っておいたほうがよいと思う。

次回は市販の保湿剤についてまとめてみる。

つづく

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