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フロモックスを使ってはいけない理由【皮膚科医の抗菌薬の使い方①】

 

自分が皮膚科医になったときは、抗菌薬はフロモックスやメイアクトなどを頻用していたんだけど、最近は使わないほうがいいという流れになっている。

結論を申しましょう。もはや、医療界はもう、経口三世代セフェムと決別すべきです。

IDSAはStrept pharyngitisのガイドラインを最近改定しましたが、「三世代のセフェムを使わぬよう」推奨しています。

経口三世代セフェムへの決別

 

今回は皮膚科医の抗菌薬の使い方についてまとめてみた。

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フロモックスやメイアクトを使わない方がよい理由

 

経口第三世代セフェムは吸収率が低く、ほとんどは便に排泄されてしまうそうだ。

腸管吸収率

  • セフジニル(セフゾン)25%
  • セフジトレン(メイアクト)16%
  • セフポドキシム(バナン)46%

レジデントノート17(2) 287-292, 2015.

 

そのため効果は低く、耐性菌や偽膜性腸炎やリスクがあるだけ。

三世代セフェムは100mgを1日3回みたいな使い方が多く、投与量がものすごく少なく、かつ消化管からの吸収がとても悪いのが特徴です。

さらにClostridium difficileによる腸炎を起こしやすいことは以前から知られています。

経口三世代セフェムへの決別

 

神戸大学病院では薬剤が採用中止になったそうだ。

 

昔はフロモックス、メイアクトを使って治っていたように思うが、自然治癒していたということなのだろうか。

 

いずれにせよ皮膚の感染症でも経口第三世代セフェムは使わないようにしている。

主に腸管吸収率の高いぺニシリン系や第一世代セフェムを使用する。

腸管吸収率

  • アモキシシリン(サワシリン)75%
  • アモキシシリン/クラブラン酸(オーグメンチン)75%/30~98%
  • セファレキシン(ケフレックス)90%
  • セファクロル(ケフラール)93%

レジデントノート17(2) 281-286, 2015.

 

皮膚科医が使うべき抗菌薬

 

皮膚の感染症の原因菌はほぼグラム陽性球菌のレンサ球菌とブドウ球菌。

そこで皮膚科医が使うべき抗菌薬は主に2種類だけである。

 

  1. 第一世代セフェム
  2. βラクタマーゼ阻害剤配合ペニシリン

 

ペニシリンとセフェムの抗菌スペクトラム

 

第一世代セフェムはレンサ球菌とブドウ球菌の両方に強い抗菌力を持つ。

一方、アモキシシリンなどのペニシリン系はレンサ球菌には強いが、ブドウ球菌には効果が低い。

 

黄色ブドウ球菌に対する抗菌薬感受性

ペニシリン43.8%
セファゾリン99.9%

(救急・集中治療 29巻7-8号 p458-464, 2017)

 

これは黄色ブドウ球菌がペニシリンを分解するβラクタマーゼを産生するからである。

しかしβラクタマーゼ阻害剤を配合すればペニシリン系もブドウ球菌に対する抗菌力が復活する。

 

黄色ブドウ球菌に対する抗菌薬感受性

アンピシリン50%
アンピシリン/スルバクタム100%

(救急・集中治療 29巻7-8号 p536-542, 2017.)

 

よって皮膚感染症には第一世代セフェムとβラクタマーゼ阻害剤配合ペニシリンが適している。

2つを比べると、阻害剤配合ペニシリンの方がスペクトラムが広く、嫌気性菌全般にも抗菌力を持つ。嫌気性菌もターゲットにしたい場合はこちらを使用する。

 

嫌気性菌に対する抗菌薬感受性

アンピシリンアンピシリン

/スルバクタム

Peptostreptococcus
Fusobacterium
Prevotella
Bacteroides

(救急・集中治療 29巻7-8号 p536-542, 2017.)

 

  1. 第一世代セフェム⇒グラム陽性球菌
  2. βラクタマーゼ阻害剤配合ペニシリン⇒グラム陽性球菌+α

 

内服薬と注射薬

 

第一世代セフェムとβラクタマーゼ阻害剤配合ペニシリンには、それぞれ内服と静注があるから全部で4つになる。

第一世代セフェム

経口:セファレキシン(ケフレックス)

静注:セファゾリン(セファメジン)

 

βラクタマーゼ阻害剤配合ペニシリン

経口:アモキシシリン/クラブラン酸(オーグメンチン)

静注:アンピシリン/スルバクタム(ユナシンS)

皮膚科の抗菌薬

 

またオーグメンチンは通常の用量では少なすぎるため、サワシリンと組み合わせて処方する。

CVA/AMPCについては、添付文書通りの投与法ではAMPCとしては最大1000mgまでしか投与できないので、さらにAMPC経口薬の併用も考慮する

JAID/JSC感染症治療ガイドライン―呼吸器感染症

 

これをオーグメンチン+サワシリンで「オグサワ」と呼ぶ。

 

オグサワとは

 

海外でのアモキシシリン/クラブラン酸の用量は2パターン。

アモキシシリン/クラブラン酸
875mg/125mg1日2回
500mg/125mg1日3回

amoxicillin/clavulanate (Rx)

 

よってオグサワには2パターンの使用法がある。

日本のオーグメンチンは1錠あたり250mg/125mg。サワシリンは1錠250mg。

オグサワ

  1. オーグメンチン1錠+サワシリン2錠⇒1日2回
  2. オーグメンチン1錠+サワシリン1錠⇒1日3回

高齢者における抗菌薬の考え方,使い方 経口薬編

 

パターン1だとアモキシシリンの用量は750mgになるので、海外の875mgより若干少なめ。

 

まとめ

 

今回は皮膚科で使うべき抗菌薬を4つ挙げた。

次回は海外の蜂窩織炎ガイドラインから、それぞれの具体的な使い分けをまとめてみる。

 

つづく

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皮膚科医の抗菌薬の使い方シリーズ

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