暗示療法で治すイボの話【信じるものは救われる?】

この記事が気に入ったらシェア

「暗示療法」と聞くと何だかカルトな印象を受ける。

しかし「暗示療法」は皮膚科の診療現場では、教科書にも記載されている、れっきとした治療法である。

尋常性疣贅の治療

冷凍療法、ブレオマイシン、グルタールアルデヒド、ポドフィリン、IFN-β、ヨクイニン、グリチルリチン、エトレチネート、暗示療法

皮膚科学

今時こんな胡散臭い医療が行われているということは衝撃だが、今回はその詳細を解説する。

スポンサーリンク

イボの治療法

イボ(尋常性疣贅)はヒトパピローマウイルス(HPV)の感染症で、現在HPVに対して直接効果のある薬剤は存在しない。

そのためイボの治療法には決定的なものがないのが現状である。

しかしイボは自然に治ってしまうことがあることも知られている。

疣贅は3か月で30%、2年間で65~78%が自然消退する。

ウイルス性疾患 性感染症 (最新皮膚科学大系)

これは自己免疫によってHPVが排除されるためと考えられている。

そのためイボを治すための方法は「なんとかして自己免疫を惹起すること」が主軸となるわけだ。液体窒素だったりヨクイニンだったり。

そして自己免疫を惹起する方法の一つとして暗示療法がある。

自然消退は「意味のない薬」や「おまじない」でも起こりうる。

自然消退は医師から処方された意味のない薬を飲んだり、塗ったり、あるいはおまじないや近所のいぼ地蔵にお参りするといった心理的な暗示によっても引き起こされる。

疣贅(いぼ)のみかた,治療のしかた

この理由は、暗示が契機となり「それまでは十分な反応に至らなかったHPVに対する免疫反応が強化される」からだと考えられている。

暗示効果で免疫力が高まるということである。

さらにもっと極端に書かれている場合もある。

プラセボや暗示療法を含め、いずれの治療方法でもある程度の治癒率はえられるが有意差はない。

数種の治療方法で、適宜変更しながら治療することが、その暗示効果も含めて現在では最も良い方法である。

(日本皮膚科学会雑誌95(9)p985 1985)

ほぼ100%が暗示による効果だと書かれている論文である。古い論文だが1985年から30年間治療法は変わっていない。

30年も治療が進歩していないのは皮膚科くらいかもしれない。

ここまでくるとインチキ医療だとバカにできないところがある。

暗示を有効にかけるために

有意差のない治療法でも、効果があると信じた医師が行えば効果がでる場合があるようだ。

ある薬剤が疣贅に有効ではないかと考えた医師が治療を行うと治癒率は80~90%を越えることも多い。しかし大規模な臨床試験を行うと、まったく有意差がないという結果に終わる。こうした効果の大部分は暗示によるものであろう。

カラーアトラス疣贅治療考

また暗示は患者にだけでなく自分にもかけなければならない。「自分を鼓舞する」ことによって治療効果が増すという。

難治な疣贅は、「このままずっと治せないのではないか」と弱気になると、にわかに勢いづいてくるように思えます。

難治例では「必ず治る、必ず治す」と自らを鼓舞しながら治療するとよいことを覚えました。

疣贅(いぼ)のみかた,治療のしかた

自信のなさが患者に伝わってしまうと暗示効果が落ちてしまうということだろう。

自分はこういうのは苦手で、どうしても患者に「もしかしたら効くかもしれないからやってみましょう」と説明してしまう。

松岡修三とかが治療したら効果が高そうだが…。

こういう科学的ではない部分を許容できるかどうかが、皮膚科を面白いと思うかどうかの試金石になるのかもしれない。

一歩間違えばカルトだけど。

イボの治療は今後はどうなるのか

コンジローマではワクチンやベセルナなど新しい治療が導入されているけど、尋常性疣贅にはまだ出てきていない。

アトピーや乾癬などに新しい治療法が次々と出てくるので、イボの治療にも画期的なものが出てきてほしい。

スポンサーリンク

この記事が気に入ったらシェア

地方の皮膚科医をフォロー

ブログランキング

▼ブログランキング▼

にほんブログ村 病気ブログ 医者・医師へ