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「お手軽、軟膏ローテーション療法」 外用のモチベーションを上げる方法

 

患者に軟膏を塗ってもらうのは思っているよりも難しい。

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今回はそのための方法の一つとして「軟膏ローテーション」を紹介する。

軟膏の種類が変わると皮膚症状が改善する

 

効果が同じ軟膏であっても、種類の変更だけで皮膚症状が改善するというデータがある。

同じビタミンD3製剤である「ドボネックス軟膏」と「オキサロール軟膏」を交換することの効果を調べた研究。

 

ドボネックス軟膏かオキサロール軟膏をそれぞれ1か月以上使用している乾癬患者で、軟膏の種類を変更した時の皮膚症状の改善率を調べた。

 

・ドボネックス軟膏からオキサロール軟膏へ変更 ⇒ 皮疹改善率24.9%

・オキサロール軟膏からドボネックス軟膏へ変更 ⇒ 皮疹改善率23.7%

 

藤田英樹. 臨牀と研究, 91(2): 299-303, 2014.

 

ドボネックス軟膏とオキサロール軟膏には有効性の差はないが、外用の変更によって有意な皮膚症状の改善がみられている。両群間の有意差もなかったそうだ。

「軟膏が変わることによって外用のモチベーションが上がる」ことが改善の理由だとされている。

「薬が新しくなったんでしっかり塗ってみよう」と思うということ。

普段どれだけ軟膏が塗られていないのかが分かる結果である。

 

 

軟膏ローテーション療法の実際

 

ということで軟膏の種類を変えてみることはデータにも裏付けられた良い治療法である。

「もっと良い薬はないのですか」と聞かれたときに「ありません」と言いがち。

 

でも「じゃあ変えてみましょう」といってマイザー⇒アンテベートなどに変えてみるのは意外と使える方法。

それで「薬を変えてもらってよくなりました」と言われることもよく経験する。

 

「どう違うのですか」と詳しく聞かれると困るけど。

皮膚科の治療はこういう非科学的な部分も重要である。

 

他にも混合軟膏という手段もある。

>>「外用薬混合の可否」を皮膚科医が解説する【メリット・デメリット】

 

▼外用薬についてのまとめはこちら▼

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