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人格はお金に先行するのか?負のモチベーションも大切にしよう

 

「成功のためには人格的に優れている必要がある」

「人格はお金に先行する」

こんな言葉を耳にすることは多い。

 

でもそれに対してずっと違和感を持っていた。

キレイゴトすぎて、なんか胡散臭いな、と。

 

最近読んだ「非常識な成功法則」という本にその答えが書かれていた。

 

この本によると、成功はむしろ「負の感情」から始まるのだという

今回は負のモチベーションを医療の観点から考えてみる。

 

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成功法則とは

 

世の中の成功法則は、すでに成功した人が自分にいい聞かせるためのものなのだという。

 

成功者が一番恐れるのは、傲慢になり天狗になってしまうこと。

だから自らを律するために「謙虚でなければならない」「お金で幸せは買えない」などの常套句を唱えるのである。

 

人に役立つことをしていれば、お金は後からついてくる。

謙虚でなければならない。

 

こんなキレイゴトを繰り返しながら、うだつの上がらない人はごまんといる。

凡人が一般的な成功法則を真に受けてはいけないのだ。

 

お金と心の両方を得るのは難しい。

お金と心の両方を得ようとすると、これがなかなかむずかしいんだ。

 

嫉妬、敵対心、見栄、虚栄心などの負の感情。

一般的には、このようなマイナスの感情は持ってはいけないと言われている。

ところが実際問題として、この負の感情のエネルギーは非常に強い。

成功のためには負のエネルギーを利用することも必要なのだ。

 

しかし負の感情だけでは、成功した後に足元をすくわれてしまう。

負のエネルギーで成功した後は、心を豊かにする必要がある。

 

①成功→②人格

 

この2ステップを意識するのが本当の成功の法則である。

まずは自分の悪のエネルギーを活用する。そして短期間で、金銭的に安定軌道に乗る。その後、必死になって心の面でも豊かになるように努力するんだ。

 

人格は確かに不可欠だが、成功のためには負のモチベーションも必要なのだ。

これは医療の世界にも当てはまるのではないだろうか。

我々の仕事も、「やりがい」とか「患者さんの笑顔」とか、そんなキレイなモチベーションだけで支えていくのは難しい。

 

医者の負のモチベーション

 

医療者は人格的に優れていなければならない。

世の中にはそんな考えが浸透している。

しかし医師も負の感情に目を背けることはできない。

かつてmedtoolz先生のブログにこのあたりのことを書かれていた。

【関連】臨床で必要なことはすべてmedtoolz先生から学んだ

 

なぜ我々は一生懸命勉強できるのか。

 

患者さんが早くよくなるため。地域に少しでも貢献するため。そんなキレイな動機で必死になれる人は少ないだろう。

 

早く上から認められたい。同級生に差を見せつけたい。周囲から「すごい奴」とはやしたてられたい。

動機が不純なほど力を発揮できるのというのが現実である。

早く上から認められたい。同級生に差を見せつけたい。周囲から「すごい奴」とはやしたてられたい。

モチベーションというのは不思議なもので、目的が具体的なほど、動機が不純なほど人は力が発揮できる。

 

さらにこのような負のモチベーションが医療を支えている側面もあるのではないか。

 

医療を支える根暗な報酬

 

外科医がモチベーションを維持できる理由。

そこには「根暗な報酬」が存在する可能性がある。

 

自尊心という根暗な報酬は、「誰かに頭を下げられる」ことから発生する。

たとえばある外科医が内科医より知識が劣っていたり、心電図一つ満足に読めなかったりしても、内科医が「手術をお願いします」と頭を下げるかぎり、自尊心は傷つかない。

 

手術しかできない外科医であっても、他の医師から頭を下げられる限りモチベーションを維持することができるのである。

たとえば「手術しかできない外科医」という人を仮想すると、その人は手術をすることから、自尊心を摂取できる。

自尊心という根暗な報酬は、「誰かに頭を下げられる」ことから発生する。誰かに「お願いです」と乞われるかぎり、その人は仕事が続く。

 

一方、救急医療には「やりがい」のような明るい報酬はそろっているが、根暗な報酬を得られる場面が少ないかもしれない。

そしてそれが現場の疲弊につながっている可能性がある。

救急医療は、たしかに仕事はハードだけれど、休みはそれなりに確保できるし、疾患も多様で、やりがいみたいな「明るい報酬」要素もきちんとそろっているのに、医師が疲れてしまう。

そこで働いていても、自尊心が摂取できないから疲れてしまう要素というのがあるんだと思う。

 

救急の体制が整備されるにつれて、患者の受け入れは昔ながらの「お願い」から、公立施設の「義務」みたいなものへと変わっていった。

患者を受け入れるのは当然の義務。

「お願いします」と頭を下げられる状況が発生しなくなり、根暗な報酬を得られる場面は減ってしまう。

細い声で「お願いします」なんて頼んでいた電話依頼は、「ご苦労さん。また一つ頼むよ」なんて、元気で張りのある声に変わった。同じ頃からたぶん、公立の基幹病院からは、勤務希望の声も減っていったのだと思う。

 

「断らない救急」に現場が疲弊していくのには、このような理由もあるのかもしれない。

 

まとめ

 

負のモチベーションが得られる場所には人が集まり長続きする。

一方、「待遇」や「やりがい」のような明るい報酬をどれだけ増やしても、根暗な報酬がない場所からは人は離れてしまう。

 

地方の総合病院では、売上を維持するための「断らない救急」や、紹介患者を増やすための「近隣のクリニックへの低頭平身な態度」が求められている。

しかしそれが逆に職員のモチベーションを下げ、地域医療の崩壊へつながっている気がする。

 

医療者は人格的に優れていなければならないのは間違いないだろう。

しかし思考停止してそんなキレイゴトを言ってるばかりではなく、負のモチベーションにも自覚的である必要があるのではないだろうか。

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