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ハッピーマニアから学ぶ進化心理学

 

安野モヨコのマンガ「ハッピーマニア」を読んだ。

 

主人公はふるえるような恋愛がしたい重田カヨコ。

そんなカヨコと、彼女に一途に思いを寄せる高橋君の2人の恋愛を描くストーリーである。

ハッピーマニアの解説の図

 

カヨコは高橋くんに対してこんなセリフを吐く。

「あたしは あたしのことスキな男なんて キライなのよっ」

重田カヨコの図

(2巻より)

 

この心境は女性には共感されているらしい。

今回はこの重田カヨコのセリフを進化論から読み解いてみたい。

 

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進化論とは

 

まず進化論についてのお話。

ヒトの歴史を振り返れば、200万年間の旧石器時代があり、農耕が始まったのはわずか1万年前。

そのためヒトの遺伝子は、まだ旧石器時代のままである。

このようなヒトの進化の過程から、体のしくみなどを解明するのが進化論である。

進化心理学の図

 

例えば糖質制限ダイエットにも進化論的な理屈がある。

旧石器時代の人間は、主に狩猟採集で得た果物やナッツ、肉、魚などを食べており、穀物などの炭水化物入手するのは難しかった。

ヒトの遺伝的体質はそのような食生活に最適化しており、炭水化物の過剰摂取は望ましくない、というのが糖質制限の理屈である。

 

進化論はこじつけのエセ科学と呼ばれることもある。

しかし色々な物事を明確に説明することができるので、とても説得力があって面白いのだ。

 

あらためて見渡してみると、世の中には進化論をベースにしたお話が溢れている。

そこで進化論に関するいくつかの本を紹介する。

 

読まなくてもいい本の読書案内

 

1冊目は橘玲の「読まなくてもいい本の読書案内」。

 

難しいけどいろいろな学問の知識がまとめられた面白い本である。

この本で取り上げられている学問の一つが、進化論を心理学に応用した「進化心理学」。

 

ヒトのからだが進化によってつくられたように、私たちの心や感情も進化の過程でつくられ、遺伝的にプログラムされている。

つまり感情も旧石器時代に最適化されている。

そう考えれば一見不合理に思われる人間のいろいろな感情も論理的に説明することができる、というのが進化心理学である。

 

例えば以下の2つの選択肢が与えられた場合どちらを選択するだろうか?

 

  1. 確実に100万円もらえる
  2. 1/2の確率で200万円もらえる

 

多くの人が①を選択するそうだ。

石器時代には食料をたくさん獲得しても腐らせてしまい役に立たなかった。大事なのは大量に獲得することではなく、確実に獲得することである。

 

ところが借金が200万円あるという条件が付加された場合。

 

  1. 確実に借金が100万円に減る(確実に100万円もらえる)
  2. 1/2の確率で借金が0円に減る(1/2の確率で200万円もらえる)

 

この場合は②を選択する人が多いのだという。

両方とも数学的にはまったく同じ質問なのだけど、人がとる行動は変わってしまう。

石器時代には損をする=獲物を奪われることは死を意味していた。

万が一損をした場合、取り返せなければ(マイナスをゼロにできなければ)死んでしまう。そのため生きる望みのある②が選択される。

 

数学的には非合理的だが、進化論的には合理的な選択であることがわかる。

それでは冒頭で紹介した「ハッピーマニア」のセリフを進化心理学的に解釈するとどうなるだろうか。

 

僕は愛を証明しようと思う。

 

次に紹介するのは藤沢数希の「ぼくは愛を証明しようと思う。」

 

彼が提唱するのは進化心理学を恋愛に応用した「恋愛工学」である。

女性蔑視と言われたりもして、すこぶる評判は悪いが、進化論がベースなので非常に説得力がある。

 

愛は子孫を残すために生まれた感情である。

そのため進化論が最もうまく適応できる分野であるといえる。

 

子孫を残すという目的は同じであっても、男女の利害関係は一致しないのだという。

それは生殖におけるリスクの違いによる。

リスクの低い男性がより多くの子孫を残すためには、多くの女性と関係を持つことが進化の最適戦略である。

一方、妊娠出産のリスクが高い女性は、相手を慎重に選び長期的な関係をつくるのが進化の最適戦略になる。

 

そのためメスは慎重に強い遺伝子を持つオス(Good Genes)を選ぶように、遺伝的にプログラムされている。

ところが何が良い遺伝子かを客観的に評価できるわけではない。

そこで参考にするのが「他のメスの評価」である。

 

動物の世界では、モテるオスがモテるという現象が観察されるのだという。

オスの繁殖能力の一番の証明は、実際に他のメスと交尾できているという実績である。

だからメスは、良い遺伝子を持つはずのモテるオスを選択する。

 

逆に一途なオスは、他のメスに相手にされていない(モテない)ことの証明になる。

つまり「僕にはあなたしかいないんだ」のような一途な想いや行動は、裏目に出る可能性が高いということだ。

 

重田カヨコのセリフは、そんな進化心理学的な考察を裏付けるものなのかもしれない。

サピエンス全史

 

最後に紹介するのはユヴァル・ノア・ハラリ の「サピエンス全史」。

 

進化論的観点から人類の歴史をまとめた本になっている。

たくさんのエピソードがあって全部面白いけれど、印象深いものを1つ紹介する。

 

農耕が始まったのは1万年ほど前。

農耕によって食料の供給量は増え、定住が出産にも有利であったことから、人口は爆発的に増加した。

ところがハラリ教授によると、人間は必ずしも幸福になったわけではないそうだ。

 

劣悪な生活を送っていたというイメージの狩猟採集民だが、彼らの生活は豊かなものだったのだという。

働くのは週に30時間程度。食事はバランスが良く、感染症は少なく健康。

 

しかし農耕が始まり労働時間は延長し、定住することで感染症が増加。

さらに小麦など単一の食料へ依存することで栄養のバランスが偏り、飢餓のリスクが増えた。

つまり農耕民の生活は、狩猟採集民より過酷になってしまったのだ。

 

なぜこのようなことが起こったのか。

これも進化心理学的に説明ができる。

 

我々のDNAは種の繁殖度を最大化するようにプログラムされている。

つまりDNAの複製に有利な行動をとるということ。

個々の幸せと種の繁殖度を天秤にかけたとき、遺伝子が選択するのは後者である。

劣悪な条件になったとしても、遺伝子は人口増加を優先するのである。

 

種としての成功と個人の幸せは両立しないということだ。

なかなか考えさせられる考察である。

 

まとめ

 

今回は進化論にまつわる雑学を紹介した。

エセ科学とも言われる進化心理学だが、お話としてとても面白い。

その他にも色々な分野のエピソードがある。

「陰キャと進化心理学」とか「統合失調症と進化心理学」とか。

いずれまた紹介したいと思う。

つづく

 

▼今回紹介した書籍▼

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