星野リゾートを酷評するツイートを見た。
星野リゾートの「リゾナーレトマム」ってとこに泊まってるんだけど、ここはなかなか酷いな…星野リゾートってこんなのなんだ。これであの値段とって結構満室、たしかに星野社長は敏腕だなぁ。
このような酷評は多い印象があるが、この理由の一つに「期待値の高さ」あると思う。
今回は期待値コントロールについて書いてみる。
星野ブランドと現実とのギャップ
星野リゾートの事業は、赤字の宿泊施設の再生である。
経営危機に陥った宿の経営権を買取り、運営を徹底的に効率化。
その後、星野ブランドで集客するという手法。
具体的には…
人手のかかる部屋食は廃止し、食事はレストランに統一。
そして料理の8割は千葉のセントラルキッチンで調理された冷凍のもの。
さらに従業員が一人でフロント、調理、清掃など複数の仕事をこなせるようマルチタスク化を進め、人件費を削減。
徹底的な効率化による黒字化こそが、星野リゾートのビジネスの核なのである。
このような手法はサイゼリアと同じ。
高級なおもてなしを期待する施設ではないわけだ。
しかし星野ブランドのネームバリューで期待値が高まっているため、酷評されてしまう。
このようなミスマッチを避けるために有用とされるのが期待値のコントロールである。
たとえば、旅館のホームページ。
写真を盛りすぎると、実物とのギャップで幻滅させてしまう。
旅館のウェブサイト。
写真ではすごくゴージャスに見えたのに、実際に行ってみたら、予想外に古びていてしょぼかったら、幻滅して二度と来ないと思うでしょう。
あえて期待値を下げることも必要とのことである。
こうした考えを、エクスペクテーション・マネジメント(期待値管理)と呼びます。
ポイントは相手の期待値を必要以上に上げすぎないこと
あえて期待値を下げることも求められます
日高屋のラーメン
期待値を上げすぎないこと。
これがうまくいっていると思うのが日高屋である。
>>日高屋会長が明かす「うますぎないラーメン」を作る理由が納得すぎて、ぐうの音も出ない…
日高屋の会長は、「うますぎない味を目指している」と公言している。
創業者である神田正会長の哲学は、一見すると謙虚、あるいは消極的にも聞こえる「10人中6人が美味しいと思ってくれればいい」というものだ。
おいしすぎるラーメンは毎日食べると飽きてしまう。
ほどほどの味だからこそ、毎日食べても飽きないとのことである。
あえて「完璧」を目指さず、強烈なインパクトはないけれど、どこかホッとする。そういう味だからこそ、お客様は「ああ、今日も日高屋にいくか」と、週に1回、2回と、飽きずに繰り返し足を運んでくれるのです。
そして経営を効率化し、味よりも安さや早さで勝負する。
店のオペレーションをある程度マニュアル化して「安くて、そこそこ美味しい味」を、真面目に追求すること。そうして生まれたのが「日高屋」なのです。
「うますぎると飽きる」から「10人中6人が美味しい」でいいという味の哲学。そして「セントラルキッチン」による徹底した効率化と低価格の実現。これらすべてが噛み合って、今の日高屋があるのです。
会長がメディアでこのような発言をすることで、客の期待値が下がるのは間違いない。
うまいラーメンを食べたい人が日高屋へ行くことはないだろう。
味はほどほどでいいので、安いラーメンを手早く食べたいというニーズの客が足を運ぶのである。
ここが星野リゾートと日高屋の大きな違いである。
私たちは「6割の味」でいい、と決めている。この哲学があるからこそ、味を「マニュアル化」できるのです。
外来の期待値コントロール
外来診療でも期待値の及ぼす影響は大きい。
かつて総合病院に勤務していたときのこと。
総合病院の仕事は、開業医からの紹介患者を診ること。
そのぶん患者の期待値が高く、診察室はいつも緊張感にあふれ、クレームも多かった。
それではクリニックではどうだろうか。
新規開院したばかりのクリニックにバイトに行っていたときのこと。
大々的な広告を行っていたこともあり、期待値の高い患者が多かった。
とくに広告を見て遠方から受診した患者はクセが強く、診察に時間がかかる上に、その後の定期通院にも繋がらない。
一回で終わりで単価が高い自費診療であればそれでもよいだろうが、保険診療では売上への影響は小さいと感じた。
そもそも遠方からの受診患者は、すでに複数の医療機関を受診している難治性疾患の患者であり、保険診療に対する不満を抱えているケースがほとんどである。
同じ保険診療のクリニックに特別な治療があるわけもなく、「わざわざ遠くまで来たのに…」と逆に不満を持たれることになってしまう。
一方、都会のオフィスクリニック。
こちらは仕事の合間に気軽に受診する患者がほとんどで、期待値は低い。
そのぶんクレームを言ってくる患者は少なかった。

「売上を上げるためには、SEOやMEOに対策を行い、幅広く患者を集める必要がある」
そんな声を聞くことは多いが、実際の効果はそこまで高くないのかもしれない。
加えて患者の期待値が上がり、医師やスタッフが疲弊するのは間違いないだろう。
まとめ
今回は期待値コントロールについて書いてみた。
外来診療においても、期待値をそこそこにコントロールすることは意外と重要なのではないだろうか。
Googleの口コミも、評価が高すぎると期待値が高い患者が集まるのでよくない気がしている。
「Google口コミ対策が必須」という声も広告会社のポジショントークなのかもしれない。
ほどほどが一番である。
日高屋の会長のように「ほどほどの診察」と言うわけにはいかないだろうけど。






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